ブログ説明

ひどい耳鳴りのためTRT療法を体験
その後、難聴は進行して、ほぼ聞こえず。でも耳鳴りだけは聞こえる(笑)
アブミ骨手術ができるということで、その体験談も書きます。
ラベル 4コマ漫画 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 4コマ漫画 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年1月18日日曜日

冬の朝、補聴器のご機嫌ななめを直した「意外な相棒」

 厳しい寒さが続く今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 東京の冬は、夜寝る時に暖房を切ってしまうと、朝の冷え込みが体にこたえますよね。

実は、毎朝「布団から出たくない!」と凍えているのは、私だけではなかったようです。



補聴器だって、寒いのは苦手?

最近、朝起きて補聴器を耳につけると、どうも調子が悪いのです。 なんだか元気がないというか、ザラザラとしたノイズが混じるというか……。

例えるなら、電池が切れかかった古いラジオのような音。 音が途切れたり、かすれたり。 「あれ? 故障かな?」と不安になるほど、朝一番の補聴器は機嫌が悪かったのです。

原因は「寒さ」にありました

ふと、「これって、しっかり充電できていないのかも?」と思い当たり、取扱説明書を引っ張り出してみました。

すると、そこには驚きの事実が! **「周囲の温度が低いと、充電性能が低下する」**との記載があったのです。

私の部屋の室温は、充電が全くできないほどではないものの、性能がガクンと落ちる「不調ゾーン」に片足をつっこんでいたようです。補聴器も、寒さで震えていたのかもしれません。

解決策は「一緒に寝ること」!

そこで始めたのが、ちょっと変わった寒さ対策です。

  1. 100均で購入した小さなポーチを用意します。

  2. その中に充電器ごと補聴器を入れます

  3. そのまま、私と一緒に布団の中へ!

なぜポーチに入れるのかというと、私の補聴器の充電器にはロック機構がないからです。そのまま布団に入れると、寝返りを打った拍子に補聴器が放り出され、布団の中で「迷子のアドベンチャー」が始まってしまいますからね(笑)。出勤の朝にこれが起きればもう悲劇です。

毎朝、元気に「おはよう」

この「お布団作戦」を始めてからというもの、補聴器は朝から絶好調! 昨日までのノイズが嘘のように、クリアな音を届けてくれるようになりました。

人間も補聴器も、やっぱり温かいのが一番。 もし、冬の朝に補聴器の元気がなくて困っている方がいたら、ぜひ「一緒に寝る作戦」を試してみてください。(もちろん、ポーチに入れるのを忘れずに!)

これでまた一つ、冬の悩みが解決しました。 さあ、明日も元気に過ごしましょう。

充電のために、補聴器も夜間保温を



2025年12月16日火曜日

空港で「ポツン」と一人ぼっち。笑えるようで笑えない、ある「見えない壁」のお話です。

 旅行や出張で空港に行くこと、ありますよね。搭乗ゲート前のあの待ち時間。これから始まる旅へのワクワク感と、手持ち無沙汰な退屈さが入り混じる、独特の空間です。

そんな日常のひとコマを切り取って、少し風刺の効いた4コマ漫画を作ってみました。テーマは「搭乗口の変更」。よくあるトラブルですが、少し視点を変えてみると、普段は見過ごしがちな「壁」が見えてくるかもしれません。

まずは、こちらの漫画をご覧ください。

空港で民族大移動? 放送が聞こえず置いてけぼり

いかがでしたか?

主人公は余裕の表情でスマホを見てリラックスしていたのに、ふと気づけば広い待合室にポツンと一人。まるで異世界に転移してしまったかのような孤立感。「えっ!? 誰もいない!?」というあの焦りは、想像するだけでヒヤッとしてしまいます。

原因はシンプル。「搭乗口変更のアナウンス」を聞き逃したことですね。

空港のスピーカーって、どうしても音がこもっていたり、割れていたりすることが多い気がしませんか? 「ピンポンパンポーン」というチャイムの音は聞こえるのに、肝心の内容が周囲の雑踏にかき消されて「ザザッ…ピー…ゴニョゴニョ…」としか認識できない。これ、誰にでも経験があることではないでしょうか。

さて、ここで少しだけ想像力を働かせてみてください。もし、この場にいたのが、耳の聞こえに何らかの不自由さを感じている「難聴」の方だったら、どうでしょう。

難聴というと「音が全く聞こえない」状態をイメージされることが多いのですが、実際はそう単純ではありません。「音は聞こえているけれど、何を言っているのか言葉としてハッキリ聞き取れない」というケースがとても多いのです。

特に、機械を通した声や、ガヤガヤとした騒音の中でのアナウンスは、聞き取りのハードルがエベレスト級に跳ね上がります。補聴器をつけていたとしても、全ての雑音をきれいに取り除いてくれるわけではないんですよね。

漫画の2コマ目、周囲の人たちが民族大移動かのごとく一斉に動き出したあの瞬間。音声情報が入りづらい人にとって、周囲の視覚的な変化はとても重要な「状況判断のヒント」になります。「あれ、何? みんな急に立ち上がって、どうしたの?」とキョロキョロ周りを観察して状況をつかもうとしている間に、決定的なタイミングを逃してしまう。

この「情報の波から、自分一人だけ取り残されていく恐怖と焦燥感」は、当事者以外にはなかなか伝わりにくいものがあります。

そして、極めつけは4コマ目のオチです。

慌ててカウンターに向かった先で目にしたのは、今まさに係員さんがホワイトボードに「変更先」を書き込んでいる姿。

「それを書くのは…みんなが居なくなった後なのね…」

主人公の心の声が、すべてを物語っていますよね。日本の多くの公共空間では、いまだに「音声案内」がメインで、「文字などの視覚情報」は補助的な扱いになりがちです。「耳で聞くこと」を前提としたシステムの中では、どうしてもそこからこぼれ落ちてしまう人がいるのが現実です。

もちろん、係員さんに悪気があるわけではないでしょう。もっとも手軽にかつ迅速にできる情報伝達の手段が「声」だと思いますから。

音声アナウンスと同時に、手元のスマホに通知が来たり、もっと目立つモニターに大きな文字で表示されたりする。というのは理想過ぎて、文字表示の準備のために大多数の人への音声による伝達を遅くするのはナンセンスでしょう。でも、視覚など音声以外の情報伝達が、あまりに遅れてしまうことがなければそれでいい、そんな「当たり前の配慮」があれば、救われる冷や汗や孤独感も多いはずです。

漫画を見て「あるある!」とクスッと笑っていただきつつ、その裏側にある「見えないハードル」について、ほんの少しだけ思いを寄せていただけたら嬉しいです。

視覚情報も提供して・・・無茶な理想だけど



2025年12月15日月曜日

【4コマ漫画】オフィスに潜む「見えない壁」―補聴器ユーザーと固定電話の葛藤について

現代のオフィス環境において、電話対応は依然として基本的な業務スキルのひとつと見なされています。しかし、多くの人が無意識に行っている「受話器を取って耳に当てる」という動作が、聴覚に課題を抱える当事者、特に補聴器ユーザーにとっては、極めて高度な技術的・心理的ハードルとなっている現状があります。

今回は、一人の会社員の視点を通して描かれた4コマ漫画をもとに、オフィス内に存在する「見えない障壁」について考察します。

聴覚障害者の電話の苦悩


構造的なミスマッチ:マイク位置のジレンマ

まず特筆すべきは、物理的なインターフェースの問題です。漫画内でも象徴的に描かれている通り、一般的な耳掛け型補聴器のマイクは、耳の穴(外耳道)ではなく、耳介の上にかかる本体部分に位置しています。

健聴者向けの固定電話は、受話器のスピーカーを耳の穴に密着させることを前提に設計されています。しかし、補聴器ユーザーが同じように受話器を当てても、補聴器のマイクは音を拾うことができません。音を正確に拾うためには、受話器を耳の上部へずらし、マイクの位置にピンポイントで合わせる「探索」の動作が必要不可欠となります。

受話器を補聴器のマイクに合わせるのがめちゃ苦労します


この数秒のラグ(遅延)は、周囲からは単なる「もたつき」に見えるかもしれません。しかし、当事者にとっては、精密機械のチューニングを強いられるような、極めて緊張を強いられる瞬間なのです。

情報の欠落と「冒頭の空白」

物理的な調整に時間を要することの最大の弊害は、通話冒頭の情報の欠落です。受話器の位置が定まり、ようやく音がクリアに聞こえ始めた頃には、相手方の「名乗り」が終わっているという事態が頻発します。

ビジネス電話において、相手の社名や氏名は最も重要な情報のひとつです。それを聞き逃した状態で会話をスタートさせなければならないプレッシャーは計り知れません。「すみません、もう一度お願いします」という一言は、一度や二度であれば容易でも、日に何度も繰り返すとなれば、当事者の自尊心を削り、業務への自信を喪失させる要因となり得ます。

心理的負担という「強敵」

この漫画が浮き彫りにしているのは、単なる「聞こえにくさ」という機能的な問題だけではありません。静寂に包まれたオフィスの中で、周囲の視線を感じながら電話に出ることへの過度な緊張感、そして「また失敗するかもしれない」という予期不安です。

「受話器」という無機物が、まるで意思を持った強敵のように立ちはだかる描写は、決して誇張表現ではなく、当事者が日々感じている心理的圧迫感を正確に視覚化したものと言えるでしょう。

オフィスのユニバーサルデザインに向けて

近年、障害者差別解消法の改正に伴い、事業者には「合理的配慮」の提供が義務化されました。しかし、固定電話の対応のような日常的な業務に関しては、個人の努力や我慢に委ねられているケースが少なくありません。

この漫画が示唆するのは、当事者の苦悩だけではなく、組織としての対応の必要性です。例えば、電話対応業務の免除や代替、音声をテキスト化するツールの導入、あるいはBluetooth等で補聴器と直接接続可能な電話機の採用など、技術的・制度的な解決策は存在します。

一枚の漫画を通して、オフィスの片隅で起きている「音のない戦い」に想像力を働かせること。それが、真に働きやすい環境を作るための第一歩となるのではないでしょうか。


捕虫器ユーザーと受話器との戦い


2025年12月14日日曜日

【難聴者の日常】名前を呼ばれても聞こえない…クリニックの待合室で私が挑む「孤独なギャンブル」

 大きな総合病院に行くと、ホッとすることがあります。 それは、待合室に「受付番号」が表示される大きなモニターがあるから。 「ああ、自分の番が視覚的にわかる」 たったそれだけのことで、私たち難聴者は、本を読んだりスマホを見たりして、安心して順番を待つことができます。

しかし、街の小さなクリニックとなると話は別です。 そこにはモニターもなければ、番号表示もありません。頼りになるのは、受付のスタッフさんが呼ぶ「声」だけ。これが私にとって、診察そのものよりも緊張する「試練の時間」の始まりなのです。


呼び出し時の苦悩


◆ 補聴器をしていても「3メートル」が限界

「補聴器をつけているんだから、聞こえるんでしょ?」 そう思われることも多いのですが、実はそう単純ではありません。私のような重度難聴の場合、補聴器を使って会話が成立する「有効距離」は、せいぜい3メートル程度。 広い待合室の端っこに座っていて、遠くの受付から名前を呼ばれても、それは空気の振動にすぎず、意味のある言葉としては届かないのです。

もちろん、神経を研ぎ澄ませて、ウサギのように耳を立てていれば聞き取れることもあります。でも、いつ呼ばれるかわからない待ち時間の間、何十分も極限の集中力を維持し続けるのは不可能です。 その結果、私は「音」ではなく、待合室の「空気」を読んで行動することになります。

◆ 待合室で発生する「3つのパターン」

名前が聞こえない私が、どうやって自分が呼ばれたと判断するのか。それはもう、一種の「賭け(ギャンブル)」です。長年の経験から、以下の3つのパターンに分類されることがわかりました。

【パターン1:フライングの恥】 受付の方が何かを叫んだ気配がする。 反射的に腰を浮かす私。と同時に、視界の隅で別の誰かも立ち上がる。 ……あ、これは私じゃないな。 そう察してすごすごと座り直すパターン。これはまだ傷が浅くて済みます。「足が痺れたから体勢を変えただけですよ」という顔で誤魔化せるからです。

【パターン2:沈黙の正解】 受付の声がする。しかし、待合室の誰も動かない。誰も反応しない。 この「沈黙」こそが、私への合図である可能性が高いのです。 「誰も行かないなら、私か?」 そう思って受付に行くと、正解。無事に診察室へ。これが理想的な展開です。

【パターン3:最もバツが悪い敗北】 問題なのはこれです。 パターン2と同じく、声がしたのに誰も動かない。「お、これは私だな!」と自信満々で受付へ歩み寄ります。 「私、呼ばれましたか?」 そう尋ねた私に対し、受付の方が冷ややかな視線で一言。 「いえ、別の方(今ここにいない人)を呼んだだけです」

……この瞬間の「やっちまった」感といったら! 背中に突き刺さる待合室中の視線。「自分の名前もわからないのか」と思われているのではないかという被害妄想。すごすごと席に戻る足取りの重さ。 ただでさえ聞こえなくて不安な中で、この「冷たい対応」を引いてしまった時のダメージは計り知れません。

◆ 「勘」で動かざるを得ない現実

笑い話のように聞こえるかもしれませんが、これは割と切実な悩みです。 「聞こえないなら、受付の近くに座ればいい」と思われるかもしれませんが、席が空いていないこともあります。「呼ぶときは肩を叩いてください」とお願いするのも、忙しいスタッフさんに申し訳なくて躊躇してしまいます。

だから今日も私は、小さなクリニックの片隅で、張り詰めた糸のような緊張感の中で「勘」を働かせています。 もし、病院の待合室で、呼ばれてもいないのに受付に行ってしまったり、キョロキョロと落ち着きのない人がいたりしても、「ああ、あの人は今、必死にタイミングを計っているんだな」と、温かい目で見守っていただければ幸いです。

そして願わくば、すべての病院に「呼び出しモニター」か、せめて「呼び出しベル」が導入される未来が来ますように。





2025年12月13日土曜日

「背中のミスコミュニケーション」を防ぐために。難聴とヘルプマーク、そしてもう一つの工夫

街中で「ヘルプマーク」を見かける機会が増えてきました。外見からは分からなくても、援助や配慮を必要としていることを知らせるこのマークは、社会の中で少しずつ浸透しています。しかし、聴覚に障害を持つ私にとって、このマークだけではカバーしきれない「もどかしい瞬間」が存在します。それは、背後からのコミュニケーションです。

本日は、私が実践している、ある小さな工夫についてお話ししたいと思います。

難聴だと背後からの声掛けに気付けないのです


「無視してしまった」という罪悪感

重度の難聴がある場合、背後からの呼びかけに気づくことは非常に困難です。 例えば、バスや電車の中での出来事です。混雑した車内で、親切な誰かが私のヘルプマークに気づき、「席を譲りましょうか?」と後ろから声をかけてくれることがあります。

視界に入っている相手なら気づくことができますが、死角となる後方から声をかけられても、私はその声に全く気づくことができません。 あとになって、ふとした周囲の視線や気配で「あ、もしかして今、声をかけられていたのではないか?」と察する瞬間があります。しかし、時はすでに遅く、相手の方は反応のない私の背中を見てどう思ったことでしょうか。

その時、悪いことをしたわけではないのに、胸に小さな罪悪感が広がります。 「せっかくの親切を無視してしまった」 「無愛想で失礼な人だと思われただろうな」

相手の善意を受け取れなかった申し訳なさと、誤解されてしまったかもしれないという不安。この「背中のミスコミュニケーション」は、私にとって精神的な負担となっていました。

状況を「可視化」するという解決策

そこで私が始めたのが、今回ご紹介する4コマ漫画にあるような「状況の可視化」です。 ヘルプマークと一緒に、アクリルケースに入れた独自のタグを鞄につけることにしました。そこには、はっきりとこう記しています。

『【難聴です】【聞こえてません】』

これは単なる事実の提示ですが、コミュニケーションのあり方を劇的に変える力を持っています。

この表示があることで、周囲の方は「無視された」のではなく「聞こえていないのだ」と即座に理解してくれます。その結果、呼びかけに反応がなくても「仕方がない」と納得していただけますし、場合によっては肩を叩くなど、視覚や触覚に訴える別の手段でコミュニケーションを取ってくれることもあります。

優しさを無にしないための準備

このタグをつけることは、周囲への甘えではなく、**「優しさを無にしないための準備」**だと私は考えています。

障害の有無にかかわらず、コミュニケーションのすれ違いは誰にとってもストレスです。しかし、こちらから「聞こえない」という情報をあらかじめ開示しておくことで、相手の誤解を防ぎ、私自身の「気づけなかった」という罪悪感も減らすことができます。

もし、街中でこのタグを見かけたら、反応がなくても「悪気はないんだな」と思っていただければ幸いです。そして、同じような悩みを持つ当事者の方がいらっしゃれば、ぜひこの「可視化」という手段を試してみてください。

言葉が届かない背中でも、情報の伝え方を工夫することで、社会の優しさをこぼさず受け取ることができる。そう信じて、私は今日もこのタグと共に外出しています。


現実の効能は…!?

ちなみに、このタグをつけてからの「現実」はどう変わったかと言うと……。 正直なところ、席を譲ってもらえることよりも、満員電車などのドア付近に立っていて「避けてほしい」という意味で、グイっと体を押されることが多くなりました。

東京の電車やバスは混雑が激しいですからね。 ちょっぴり切ないですが、これも「聞こえていないなら体で伝えるしかない」という、一応のコミュニケーションが成立した結果だということで(笑)。

2025年12月12日金曜日

【4コマ漫画】その優しさ、解読不能!?難聴者が直面する「筆談」のリアルな落とし穴

 こんにちは。今回は、ある「難聴者あるある」を描いた4コマ漫画をご紹介します。

タイトルは**『善意の解読不能ミステリー』**。

聴覚に障害がある方にとって、コミュニケーションの架け橋となる「筆談」。 「筆談してあげるよ!」という善意はとても嬉しいものですが、そこには意外な落とし穴がありました。 優しさが空回りしてしまう、ちょっぴり切なくて、でもクスッと笑ってしまう(そして考えさせられる)エピソードをご覧ください。


■ 漫画:善意の解読不能ミステリー

筆談を試みるも悪筆で伝わらない様子を描いた4コマ漫画
筆談は読めるように書いて



■ 「優しさ」だからこそ、言えない辛さ

この漫画の最大のポイントは、**「相手に悪気がない」**という点です。

もし相手が冷たい態度であれば、「もっとちゃんと書いてよ!」と心の中で毒づくこともできるかもしれません。しかし、相手は満面の笑みで、親切心からペンを執ってくれているのです。

  • 「せっかく書いてくれたのに」

  • 「忙しい中、時間を割いてくれたのに」

そんな相手への配慮がブレーキとなり、難聴者は**「読めない」「わからない」という事実を飲み込んで、愛想笑いでやり過ごしてしまう**ことがあります。これが、4コマ目の「哀愁漂う姿」の正体です。

■ 「筆談」に必要なのは、紙とペンだけじゃない

聴者(聞こえる人)がついやってしまいがちなのが、「単語だけ書けば伝わるだろう」という思い込みです。

例えば、「会議」とだけ書かれた紙を渡されても、

  • 「これから会議があるの?」

  • 「会議室が変わったの?」

  • 「会議の資料を用意してほしいの?」 文脈がなければ、その意味は無限に広がってしまいます。

さらにそこに「悪筆」が加わると、もはや解読不能なミステリー。 「丁寧な文字」「主語・述語のある文章」。 これらが揃って初めて、筆談は「伝わるコミュニケーション」になります。

■ お互いが笑顔になるために

この漫画を通じて伝えたいのは、決して「字が下手な人は筆談するな」ということではありません。 「伝えよう」とするその気持ちは、何よりも尊いものです。

筆談のコツ


ただ、ほんの少しの工夫――

  • 相手が読みやすいように、少し大きく丁寧に書く

  • 単語だけでなく、短い文章にする

  • ある程度書いたら逆向きにして欲しい

  • 「読めますか?」と確認する

その「あと一歩の配慮」があれば、1コマ目の女性の笑顔は、最後まで消えることなく続いたはずです。

もしあなたの周りに難聴の方がいて、筆談をする機会があったら、ぜひこの漫画のことを思い出してみてください。あなたのそのペン先には、相手を安心させる力も、困惑させる力も宿っているのです。

2025年1月20日月曜日

【実録】アブミ骨手術後の4ヶ月:効果の停滞と再手術決定までの経緯

 アブミ骨手術を終え、止血のために耳に詰められていたガーゼが取れたとき。聞こえる音が大きくなった、あるいは聞き取りやすくなったというような明確な変化は認識できませんでした

術後の変化について、「こんなものなのか?」という感想を持ちました。

術前の説明では、耳の中の水分が抜けて聴力が回復するまでに約3ヶ月、聴力が安定するまでには約6ヶ月かかるとのことでしたので、「これから良くなっていくのだろう」と様子を見ることとしました。

アブミ骨手術1回目から再手術決断まで


📊最初の聴力変化と補聴器調整

手術から約1ヶ月が経過した頃、まだ効果が安定していない時期でしたが、補聴器を装用すると音量が上がっていることを確認できたため、補聴器の調整を行いました。

調整内容としては、手術を実施した右耳の音を5dBほど小さく設定した、というものでした。これは、手術によって聴力が5dB程度改善したことを示しています。聴力損失が70dB程度の状況で5dBの改善は、回復度合いとしてはわずかであるという認識でした。また、効果がまだ安定しない時期であったため、「今後の推移を見守る必要がある」と考えていました。

聴力検査における5dBは誤差の範囲とされることもありましたが、実際に聞こえる音としては、5dBの上昇で音を**「うるさく感じる」程度の差**が生じました。このため、改善が起こっていることは確かでした。しかし、空気で伝わる聴力(気道聴力)と骨で伝わる聴力(骨伝導聴力)の差(気骨導ギャップ)が20dBほど残っていたため、「更なる改善の余地はあるだろう」という状況でした。

📉効果の停滞とCT検査による原因特定

当初感じたわずかな改善効果も、3ヶ月が経過する頃にはそれ以上の進展が見られず、聴力は術前の状態に近くなっているという経過をたどりました。

そして、手術から4ヶ月が経過した12月、「この状況は計画と異なっている」という判断からCT検査を予約し、翌1月に検査を受けました。

CT検査の結果、3つある耳小骨のうち、鼓膜側のツチ骨と、その隣のキヌタ骨の間に隙間が発生していることが判明しました。これにより音の振動がうまく伝わらなくなり、聴力の回復が妨げられている、という結論に至りました。

🗓️再手術の選択と術式の決定

聴力が回復していない右耳に対し、以下の選択肢を検討することになりました。

  1. 回復していない右耳を再手術する。

  2. このままにして、比較的状態の良い左耳の手術を実施する。

左耳の手術を選択した場合、右耳が聞こえない状態に加えて、左耳が回復するまでの期間、聴覚がほぼ機能しない状況に陥ることが想定されました。この負荷を考慮し、右耳の再手術を選択しました。

再手術の方法については、以下の通りでした。

  • 第一選択: 隙間が生じたツチ骨とキヌタ骨の間を埋めて、耳小骨の連鎖を再構築する

  • 第二選択: それが困難な場合、キヌタ骨を迂回(バイパス)し、ツチ骨とアブミ骨を直接連結する(キヌタ骨による音の増幅効果が得られないため、第二選択とされました)。

具体的な術式は、手術中に可能な最善の方法を選択してもらうこととし、医師に一任しました。準備を進め、2回目の手術は、1回目の手術から11ヶ月後となる2025年7月に行いました

アブミ骨手術後、再手術までの道のり