ブログ説明

ひどい耳鳴りのためTRT療法を体験
その後、難聴は進行して、ほぼ聞こえず。でも耳鳴りだけは聞こえる(笑)
アブミ骨手術ができるということで、その体験談も書きます。
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2025年12月16日火曜日

空港で「ポツン」と一人ぼっち。笑えるようで笑えない、ある「見えない壁」のお話です。

 旅行や出張で空港に行くこと、ありますよね。搭乗ゲート前のあの待ち時間。これから始まる旅へのワクワク感と、手持ち無沙汰な退屈さが入り混じる、独特の空間です。

そんな日常のひとコマを切り取って、少し風刺の効いた4コマ漫画を作ってみました。テーマは「搭乗口の変更」。よくあるトラブルですが、少し視点を変えてみると、普段は見過ごしがちな「壁」が見えてくるかもしれません。

まずは、こちらの漫画をご覧ください。

空港で民族大移動? 放送が聞こえず置いてけぼり

いかがでしたか?

主人公は余裕の表情でスマホを見てリラックスしていたのに、ふと気づけば広い待合室にポツンと一人。まるで異世界に転移してしまったかのような孤立感。「えっ!? 誰もいない!?」というあの焦りは、想像するだけでヒヤッとしてしまいます。

原因はシンプル。「搭乗口変更のアナウンス」を聞き逃したことですね。

空港のスピーカーって、どうしても音がこもっていたり、割れていたりすることが多い気がしませんか? 「ピンポンパンポーン」というチャイムの音は聞こえるのに、肝心の内容が周囲の雑踏にかき消されて「ザザッ…ピー…ゴニョゴニョ…」としか認識できない。これ、誰にでも経験があることではないでしょうか。

さて、ここで少しだけ想像力を働かせてみてください。もし、この場にいたのが、耳の聞こえに何らかの不自由さを感じている「難聴」の方だったら、どうでしょう。

難聴というと「音が全く聞こえない」状態をイメージされることが多いのですが、実際はそう単純ではありません。「音は聞こえているけれど、何を言っているのか言葉としてハッキリ聞き取れない」というケースがとても多いのです。

特に、機械を通した声や、ガヤガヤとした騒音の中でのアナウンスは、聞き取りのハードルがエベレスト級に跳ね上がります。補聴器をつけていたとしても、全ての雑音をきれいに取り除いてくれるわけではないんですよね。

漫画の2コマ目、周囲の人たちが民族大移動かのごとく一斉に動き出したあの瞬間。音声情報が入りづらい人にとって、周囲の視覚的な変化はとても重要な「状況判断のヒント」になります。「あれ、何? みんな急に立ち上がって、どうしたの?」とキョロキョロ周りを観察して状況をつかもうとしている間に、決定的なタイミングを逃してしまう。

この「情報の波から、自分一人だけ取り残されていく恐怖と焦燥感」は、当事者以外にはなかなか伝わりにくいものがあります。

そして、極めつけは4コマ目のオチです。

慌ててカウンターに向かった先で目にしたのは、今まさに係員さんがホワイトボードに「変更先」を書き込んでいる姿。

「それを書くのは…みんなが居なくなった後なのね…」

主人公の心の声が、すべてを物語っていますよね。日本の多くの公共空間では、いまだに「音声案内」がメインで、「文字などの視覚情報」は補助的な扱いになりがちです。「耳で聞くこと」を前提としたシステムの中では、どうしてもそこからこぼれ落ちてしまう人がいるのが現実です。

もちろん、係員さんに悪気があるわけではないでしょう。もっとも手軽にかつ迅速にできる情報伝達の手段が「声」だと思いますから。

音声アナウンスと同時に、手元のスマホに通知が来たり、もっと目立つモニターに大きな文字で表示されたりする。というのは理想過ぎて、文字表示の準備のために大多数の人への音声による伝達を遅くするのはナンセンスでしょう。でも、視覚など音声以外の情報伝達が、あまりに遅れてしまうことがなければそれでいい、そんな「当たり前の配慮」があれば、救われる冷や汗や孤独感も多いはずです。

漫画を見て「あるある!」とクスッと笑っていただきつつ、その裏側にある「見えないハードル」について、ほんの少しだけ思いを寄せていただけたら嬉しいです。

視覚情報も提供して・・・無茶な理想だけど



2025年12月10日水曜日

✈️ 空港の電子音に潜む無関心:中部国際空港で露呈したアクセシビリティの盲点

先日、中部国際空港セントレアを利用した際に遭遇した、ある自動販売機での体験を通じて、社会に残る「音のバリア」について深く考察させられました。

私はスマートフォンのアンケートに当選し、無料でドリンクと引き換えられるQRコードを入手しました。このささやかな幸運に心躍らせながら、意気揚々と対象の自販機に向かいました。

耳が聞こえない人の自販機の悲劇という4コマ漫画


認証完了の「無音」が生む混乱

自販機に備え付けられたリーダーにQRコードをかざすと、機械からは認証完了を知らせるはずの「ピッ」という軽快な電子音が鳴り響きます。健聴者にとっては瞬時に次の操作へ移るための重要な合図ですが、私にはその音は届きません。

音によるフィードバックがない状況下では、自販機はただ黙々と佇む「無愛想なマシーン」にしか見えません。コードが有効に読み込まれたのか、それともまだ角度が悪いのか、確認する術がないのです。

周囲に他の利用者がいないとはいえ、飛行機への搭乗時間が迫る中、操作に手間取ることへの焦燥感は増すばかりでした。私は不安から「まだ認証されていない」と判断し、何度もコードをかざし直しました。その間、自販機は確実に「ピッ、ピッ」と認証完了の音を立てていたはずです。


予期せぬ商品の出現と設計の非情さ

そして、何度目かの操作の後、予期せぬタイミングで一本の缶飲料が出てきました。出てきたのは私が望んだ商品ではありません。

混乱の原因は、音によるフィードバックの欠如です。私にはQRコードが有効に読み込まれた時点が全く分からなかったため、「商品を選び、ボタンを押す」という一連の操作に移行できていませんでした。

なぜその商品が出てきたのか。有効化後の操作タイムアウトで自動的にデフォルト商品が選択されたのか、あるいは繰り返しのコード操作が高機能ゆえに誤作動を引き起こしたのか、理由は不明です。しかし、原因が何であれ、利用者に操作の現状を伝えようとしない設計が、予期せぬ結果を招いたことは明らかです。

手に取った望まぬ缶を眺めながら、私はこの「音」に依存した設計の非情さを痛感しました。国内外のあらゆる人が利用する公共性の高い空港において、このような設計は、聴覚に障害を持つ人々を極めて不利な状況に置き去りにしていると言わざるを得ません。


高機能な自販機だからこそ求められる最低限の配慮

私たちの社会の多くのインフラは、音を前提に設計されています。操作完了確認音だけの設備は、聴覚障害者にとって操作完了を確認できない状態を意味します。長年の経験から「勘」で済ませることもありますが、それは常に不確実性とストレスを伴います。

セントレアのような国際的なハブ空港が備える高機能な自販機だからこそ、特別な設備を求めるのではなく、せめて標準機能として視覚的な情報をプラスしてほしいと願います。

せめて高機能自販機ではもっと視覚情報が欲しい


QRコード読み取りのような重要なインターフェースにおいては、

  • 視覚的フィードバックの強化: 「読み取り完了」や「商品を選択してください」といったメッセージを、単なる一瞬の点滅ではなく、大きな文字やコントラストの高い色で明確に表示し続けること。

これらは、開発コストを大きく上げることなく実装可能であり、すべての利用者の公平性を確保するための最低限の措置です。今回の小さな体験は、日々の生活の中で聴覚障害者が直面する不便さの氷山の一角です。すべての人にとって利用しやすいインフラが、当たり前の基準となることを強く期待します。


ちなみに、セントレアを非難する意図はありません。