「耳が聞こえにくいなら、補聴器を外せば静かになってぐっすり眠れるんでしょ?」
時々、そんな風に聞かれることがあります。 確かに、外からの音を遮断するという意味では、そう思うのも無理はありません。
でも、現実に訪れるのは、そんな穏やかな世界ではありません。 私の耳から補聴器を外した瞬間に広がるのは、「草原のような穏やかな静けさ」ではないのです。
| 重度難聴な人って、補聴器外しても静かじゃないんですよ |
耳の中の「ジェット機」と「鉄道の高架下」
補聴器を外した私の世界は、静かどころか、むしろ「激しい騒音」に包まれています。
いわゆる「耳鳴り」なのですが、その音量は想像を絶するものです。 例えるなら、鉄道の高架下に立っているような、あるいはジェット機のエンジン音が間近で鳴り響いているような、そんな凄まじい爆音です。
そこに「工事現場の杭打機のような音」のような響きがガンガンと加わります。 何も聞こえないのではなく、耳の中だけで鳴り続ける止まない嵐。それが、補聴器を使っていないときの私の日常の正体です。
騒音の中でも、何とか外の音を聴くために
そんな騒音だらけの世界の中でも、何とか外の音を聴くために、私は補聴器をつけます。
補聴器をつけるとどうなるか。 耳の中の騒音が消えるわけではありません。
補聴器を通して入ってくる「外の音」が、耳の中で鳴り響く「内なる騒音」に打ち勝つことで、ようやく私の元に届くのです。 正確には、内側の音に負けないくらいの音量で、外の世界の音(人の声や街の音)を届けてくれている。そんな感覚です。
皮肉な話ですが、補聴器をつけて初めて、私は内側の激しい騒音の中で戦いながら、なんとか外の音を識別し、世界とつながることができるのです。
誰にも見えない「音の戦い」
「補聴器を外すと何も聞こえないんだから、静かでいいね」
そんな風に言われるような環境でも、私の頭の中では常に激しい音の戦いが行われています。
もし、あなたの周りに難聴の方がいて、ふと疲れた表情をしていたら。 それはもしかしたら、外からの音を聴く努力だけでなく、内側の激しい騒音と戦い続けているからかもしれません。
「聞こえない」ということは「静か」と同義ではない。 この少し不思議で、けれど切実な私の日常が、誰かの理解のきっかけになれば嬉しいです。
| 補聴器を外しても「静か」じゃないのよ |
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